電気エンジニアは、電気回路や電子システムの設計、開発、試験、保守までを一貫して担う技術職です。家電、自動車、半導体、医療機器、通信インフラなど活躍の場は広く、回路理論や電磁気学、制御工学といった専門知識が土台になります。ソフトウェアエンジニアがプログラムを扱うのに対し、電気エンジニアは物理的な部品や電源システムを扱うのが特徴です。日本の製造業では、経験豊富な技術者の高齢化が進み、若手の育成が追いついていない現場も少なくありません。
一方、再生可能エネルギーやEV充電インフラ、データセンター、半導体工場の新設といった動きが、電気エンジニアの需要を押し上げています。業界の報告でも、2030年に向けて電力設備の更新と新設の需要が重なり、技術者不足が深刻化するとの見方が出ています。電気工事業の許可業者数は横ばいですが、有資格者の高齢化は確実に進んでおり、未経験者を採用して育てる企業が増えてきました。電気エンジニアは、なくなる仕事ではなく、形を変えて拡大している仕事だと言えます。
年収の実態と求められるスキル
年収の実態を見ると、給与調査サイトのデータでは電子エンジニアの平均年収が1,000万円前後、経験1〜3年の初任レベルで700万円台、8年以上のベテランで1,100万円台とされています。一方、実際の求人では電気制御設計の正社員で年収500万円から700万円、月給28万円から35万円程度の案件が多く、勤務地や担当領域で幅があります。電気エンジニアは全職種平均を上回る高収入の職種とされ、戦略的なキャリア形成で収入を伸ばせる余地が大きいのが特徴です。
求人でよく見かける必須スキルは、PLCを使った制御設計の経験、電気回路図の読み書き、CADやExcelでの図面作成です。FA機器の分野では三菱電機やキーエンスのシーケンサを使いこなせる人材への引き合いが強く、制御盤の設計から現地調整まで一貫して任せられるエンジニアは引く手あまたです。半導体関連では、耐ノイズ設計や耐静電気設計、オシロスコープやマルチメータを使った評価業務も求められます。経験者が優遇される傾向は強いですが、学歴不問の求人も増えており、実務能力が重視される職種です。
| 分野 | 業務の例 | 求人相場 | 主な資格 |
|---|
| 電気設計 | 回路図作成、部品選定、図面チェック | 年収500万円〜700万円 | 電気主任技術者 |
| 制御設計 | PLCプログラミング、シーケンス設計 | 年収500万円〜700万円 | 電気工事士 |
| FA・ロボット | 自動化ライン立ち上げ、システム設計 | 年収600万円〜1,000万円 | 電気工事士 |
| 研究開発 | 新製品の回路開発、評価試験 | 求人により異なる | 電気主任技術者、技術士 |
キャリアを広げる資格
電気エンジニアのキャリアを広げる代表的な資格が、電気主任技術者と電気工事士です。第三種電気主任技術者(電験三種)は、工場やビル、商業施設の電気設備の保安監督に必要な国家資格で、受験資格の制限がなく誰でも挑戦できます。試験は理論、電力、機械、法規の4科目で構成され、合格率は1割前後と決して簡単ではありません。ただ、科目別合格制度があり、合格した科目は最大5回の試験機会で免除されるため、3年程度の計画で合格を目指す人が多いです。
電気工事士は、電気工事を行うために必要な国家資格で、第一種と第二種があります。第二種は住宅や小規模な店舗の工事、第一種はビルや工場、病院などの大規模施設の工事にも携われます。有資格者の高齢化で人手不足が続いているため、資格を持っているだけで就職や転職で有利になる状況です。特に電験三種はビルメンテナンス業界で最強資格とも呼ばれ、定年後の再就職にも役立つとされています。未経験者なら、まず第二種電気工事士から挑戦するのが現実的です。
地域別の求人事情
求人の傾向は地域によって色が出ます。東京の田町周辺では、印刷関連機器やFA装置の電気設計・制御設計職が多く、完全自社一貫体制のメーカーが経験者を募集しています。関西では大阪や兵庫、滋賀に半導体製造装置や受変電設備の設計案件が並び、月給28万円から40万円程度の求人が見られます。岐阜ではロボットシステムインテグレータが自動化ラインの立ち上げ人材を求めており、年収600万円から1,000万円と高めです。京都ではFA機器の電気設計が時給2,000円前後で募集されるなど、働き方も多様です。
転職を考える人への具体的なステップ
電気エンジニアへの転職を考えるなら、まず自分の経験を棚卸ししましょう。回路設計やPLC制御の実務経験があれば、その分野に特化した求人を探すのが近道です。未経験の場合は、第二種電気工事士の資格取得から始め、現場経験を積みながら電験三種を目指すルートが現実的です。転職サイトでは、具体的なプロジェクト経験を数字で語れるようにスキルシートを整備することが重要で、面接では関わった製品と自分の役割を明確に説明できる準備をしておくとよいでしょう。
求人を探す際は、勤務地と担当領域の両方を軸に選びましょう。関東と関西では同じ電気設計でも扱う製品が異なり、半導体関連かFA関連かで求められるスキルも変わります。企業の研修制度やOJTの充実度も確認したいポイントで、未経験者を積極採用する企業では電気の基礎から教える育成プログラムを用意しているところが増えています。電気エンジニアの仕事は、ものづくりの現場で確実に必要とされ続ける職種です。まずは求人を眺め、自分に合う入り口を見つけることから始めてみてください。