かつては職場の上司や取引先を招いて100人規模の披露宴を開くのが一般的でした。ところがここ数年、本当に大切な人だけを招いて丁寧に過ごすスタイルが主流になりつつあります。コロナ禍を経て「そもそも何のために結婚式をするのか」を見直す動きが定着し、2026年現在もその流れは加速中です。
招待人数を絞ることは決してケチではありません。むしろ一人ひとりへのおもてなしに集中できるため、料理や引き出物、演出にかける単価は上がっています。総額は下がっても、ゲスト一人あたりの満足度は高まる。そんな「狭く深く」の価値観が、今のウエディングの中心にあるといえます。
一方で、Z世代のカップルは既存のパッケージプランをそのまま選ばず、演出を細かくカスタマイズする傾向が強いといわれます。InstagramやTikTokで「映える」空間づくりを意識する一方、装花を季節の花でまとめたり、ゲスト参加型の演出を取り入れたりと、手作りのぬくもりも大切にされています。
挙式スタイルと会場タイプの選び方
挙式スタイルで変わる雰囲気
挙式には主に四つのスタイルがあります。教会式はチャペルでキャンドルとバージンロードを歩く格式あるスタイル。神前式は神社で和装のまま厳かに行う日本の伝統的な形です。人前式はゲスト全員が証人となる自由なスタイルで、形式に縛られず自分たちらしい演出ができます。仏前式は菩提寺などで行われる、ご先祖様に結婚を報告するスタイルです。
最近は挙式と披露宴をセットにしない選択肢も増えています。挙式のみ、披露宴のみ、あるいは披露宴よりカジュアルで二次会よりフォーマルな「1.5次会」も人気です。会場選びの際は、まず自分たちが大切にしたい雰囲気を決めてから、そのイメージに合う式場を見学するのがおすすめです。
会場タイプそれぞれの特徴
| 会場タイプ | 費用感の目安 | こんな人に向く | メリット | 注意点 |
|---|
| ホテルウエディング | やや高め | ゲストの利便性と格式を両立したい | 宿泊や移動が便利、雨でも安心、料理の品質が安定 | 土日は予約が取りにくい、自由度がやや低い |
| 専門式場(ゲストハウス) | 中〜高め | 演出や空間づくりにこだわりたい | 自由度が高く、写真映えする設計が多い | 会場によって設備やサービスの差が大きい |
| 神社・料亭 | 中程度 | 和装や伝統的な雰囲気が好き | 神前式と和食を一度に楽しめる、歴史ある空間 | アクセスが限られる場合がある |
| レストランウエディング | 比較的抑えめ | 料理重視・少人数が理想 | 食事が主役、アットホームな雰囲気 | 収容人数に限りがあり、大人数は難しい |
| フォトウエディング | 最も抑えめ | 式は開かず写真を残したい | 準備の負担が少なく、予算をコントロールしやすい | 当日ゲストを招く楽しみはない |
| リゾートウエディングも根強い人気があります。かつてはハワイやグアムが定番でしたが、現在は国内の沖縄が絶大な支持を集めています。非日常の絶景と国内ならではの安心感を両立できるのが魅力で、遠方のゲストを招く場合は宿泊プランをあわせて提案する式場も増えています。 | | | | |
費用の内訳と見積もり書の正しい読み方
何にどれだけかかるのか
ウエディングパークの費用明細データによると、60名程度の結婚式で総額の平均は約420万円台後半、自己負担額は約230万円台という数字が出ています。ただしこれはあくまで平均であり、招待人数や会場タイプによって大きく変わります。30人程度の少人数婚なら150〜250万円が目安とされています。
費用の大きな項目は料理、飲物、衣装・美容、写真・映像です。特に衣装と美容はおよそ95万円前後と、全体の4分の1近くを占めることもあります。ドレスを新作から選ぶか、ブランド品のレンタルにするかで金額はかなり変わってくるため、優先順位を決めておくことが大切です。
見積もりで注意したいポイント
最初の見積もりは「最低限の内容」で作られていることがほとんどです。打ち合わせが進むにつれて、装花の追加や演出のグレードアップなどで数十万円から100万円以上上乗せされるケースも珍しくありません。見積もり書を見るときは、項目ごとに「必須」「希望」「あってもいい」と分類してみてください。
また、サービス料や会場使用料といった基本項目も忘れずに確認しましょう。式場によっては持ち込み料や時間延長料金が別途かかることもあります。複数の式場で同じ条件の見積もりを取って比較するのが、予算オーバーを防ぐ最も確実な方法です。
無理なく準備を進めるための具体的なステップ
予算計画の立て方
まず二人で「絶対に外せないこと」を三つほど書き出しましょう。料理のグレードなのか、写真のクオリティなのか、それともゲストとの時間そのものなのか。優先順位がはっきりすれば、削るところとお金をかけるところが自然と見えてきます。
親族からの援助を受ける場合は、早めに相談して金額を把握しておくことも大切です。約75%のカップルが親や親族から何らかの援助を受けているというデータもあります。ご祝儀の平均が一人あたり3万円前後であることも考慮して、自己負担額を現実的な範囲に収めましょう。
会場見学のコツ
ブライダルフェアは複数の会場を効率よく比較できる機会です。見学前に質問リストを用意しておくと、その場で迷わずに済みます。料理の試食は必須です。写真や動画だけではわからない味の好みは、実際に食べてみないと判断できません。
見学の際は、スタッフの対応もよく観察してください。打ち合わせの回数や連絡のレスポンス、急な変更への柔軟さは、当日の安心感に直結します。口コミサイトで実際に式を挙げた人の体験談を読んでおくのも参考になります。
地域別の会場選びとおすすめの進め方
東京なら、明治神宮に隣接する明治記念館のように、歴史ある庭園と格式を備えた会場が人気です。都心でも緑あふれる空間で神前挙式を行いたいカップルにとって、こうした老舗の会場は有力な選択肢になります。一方、大阪や名古屋では駅直結のホテルやゲストハウスが利便性で支持されています。
沖縄をはじめとするリゾート地では、挙式と滞在を組み合わせたプランが充実しています。遠方から来るゲストの負担を減らすため、式場が宿泊先の手配までサポートしてくれるケースも多いです。地元に親族が多い場合は、アクセスを最優先に選ぶと当日の運営がスムーズになります。
準備のスケジュール感
一般的には、式の8〜12ヶ月前から会場探しを始めるのが安心です。人気の会場や土日は早い段階で埋まってしまうため、気になる式場があれば先に見学の予約を入れておきましょう。見積もり比較は3ヶ月以内に絞り込むのがおすすめです。
衣装選びは式の4〜6ヶ月前、招待状の発送は2〜3ヶ月前が目安です。最終打ち合わせを終えたら、あとは当日を楽しむことに集中してください。準備期間が長引くほど判断に迷う場面も増えるため、二人で決めた優先順位を何度も確認しながら進めるとうまくいきます。