かつて結婚式といえば、ホテルの大宴会場で数百人を招いて行う豪華な披露宴が定番でした。しかし、ここ数年でその風景は大きく変わり始めています。株式会社トキハナが発表した2026年のブライダルトレンド予測によると、結婚式のあり方は「提供されるもの」から「共につくるもの」へと進化しているといいます。
特に注目すべきは、ゲストへの感謝を伝えることやゲストと楽しむ時間を共有することを重視するスタイルが主流になりつつある点です。派手な演出や見栄えだけを追求するのではなく、ふたりの価値観を反映した自然体のウエディングパーティを選ぶカップルが増えています。
また、結婚式のDX化も着実に進んでいます。オンラインでの式場見学や打ち合わせ、当日のライブ配信など、遠方のゲストや海外の家族にも参列しやすい環境が整ってきました。コロナ禍を経て定着したこれらの仕組みは、今や「あったら便利」ではなく「あって当たり前」になりつつあります。
少人数婚や家族婚、いわゆる「ジミ婚」と呼ばれるスタイルの人気も続いています。派手さよりも親しい人との深い時間を大切にしたい——そんな価値観が広がっているのです。
4つの挙式スタイルを知る
日本で選ばれている挙式スタイルは、大きく分けて4つあります。それぞれの特徴を理解することで、自分たちに合った形式が見えてきます。
**キリスト教式(教会式)**は、現在日本で最も多くのカップルに選ばれているスタイルで、全体の約64%を占めます。チャペルでバージンロードを歩き、牧師の前で誓いを交わす——多くの人が思い描く「結婚式」のイメージに近い形です。宗教的な意味合いよりも、ドレスや空間の美しさ、写真映えする華やかさが人気の理由です。ホテルや専門式場に併設されたチャペルで行われることが多く、雨の日でも天候を気にせず挙式できる点も魅力です。
神前式は、神社や神殿で行う日本の伝統的な挙式です。白無垢や色打掛をまとい、三三九度の杯を交わし、玉串を奉納する——一つひとつの所作に深い意味が込められています。全体の約16.7%のカップルが選んでおり、特に京都や奈良など歴史ある神社での挙式は、海外からのゲストにも好評です。雅楽の調べが流れる厳かな空間で、家と家との結びつきを重んじる日本の婚礼文化を体感できます。
人前式は、宗教的な形式にとらわれず、ゲスト全員の前で自由に愛を誓うスタイルです。全体の約16.8%を占め、近年じわじわと支持を伸ばしています。会場も衣装も誓いの言葉も、すべてふたりで決められる自由度の高さが最大の魅力。ガーデンやビーチ、思い出の場所など、場所を選ばないのもメリットです。国際結婚のカップルがそれぞれの文化を融合させたオリジナル演出をしたい場合にも適しています。
仏前式は、寺院で行う仏教形式の挙式です。数としては少数派ですが、実家が寺院である場合や、仏教の教えに基づいた厳かな式を望むカップルに選ばれています。数珠の受け渡しや焼香など、独自の儀式を通して夫婦の誓いを立てます。
挙式スタイル別 比較表
| スタイル | 挙式料の目安 | 衣装 | 収容人数 | 向いている人 | 注意点 |
|---|
| キリスト教式 | 20万〜40万円 | ウェディングドレス+タキシード | 20〜200名以上 | 華やかで写真映えする式を希望する方 | チャペルの空き状況が繁忙期は取りにくい |
| 神前式 | 10万〜30万円 | 白無垢・色打掛+紋付袴 | 10〜100名程度 | 日本文化を大切にしたい方、和装に憧れる方 | 神社によっては写真撮影の制限がある |
| 人前式 | 10万〜20万円 | 自由(ドレス・和装・私服も可) | 少人数〜100名以上 | オリジナリティを重視する方、宗教色を避けたい方 | 自由度が高い分、構成を自分たちで考える必要がある |
| 仏前式 | 10万〜25万円 | 白無垢+紋付袴が一般的 | 10〜50名程度 | 仏教に縁のある方、落ち着いた式を希望する方 | 対応可能な寺院が限られる |
気になる費用のリアル
結婚式の費用は、エリアやスタイル、ゲスト数によって大きく変わります。2025年のデータでは、挙式・披露宴全体の平均費用は約361万円で、ゲスト数は平均46.8人。地域別では、首都圏が約400万円前後、関西が約380万円前後、九州・沖縄が約300万円前後と、都市部ほど高くなる傾向があります。
ただし、この数字はあくまで総額です。ゲストからのご祝儀は1人あたり平均約3.8万円あるため、実質的な自己負担額は平均約184万円程度に抑えられるケースが多いようです。三井住友銀行の調査でも、結婚資金の貯金額相場は約325万円とされており、計画的に準備すれば無理のない範囲で収められるケースがほとんどです。
費用の内訳を見ると、最も大きな割合を占めるのが料理と飲みもので、全体の約3割に相当します。ゲストへのおもてなしの質を左右する部分なので、ここを削りすぎると満足度に直結してしまいます。反対に、ペーパーアイテム(招待状や席次表など)を手作りしたり、生花の装飾を一部アートフラワーに切り替えたりすることで、数万円単位の節約が可能です。衣装も、レンタルにするか購入にするかで大きく費用が変わります。ウェディングドレスはレンタルで20万〜50万円、購入だとそれ以上になることも。最近では、リーズナブルな価格帯のドレスショップやオンラインレンタルサービスも充実してきています。
地域で広がる選択肢
結婚式のスタイルは地域によっても特色が異なります。東京では、表参道や青山、銀座エリアの独立型チャペルやゲストハウスが人気を集めています。八芳園(白金台)のような日本庭園付きの会場や、アニヴェルセル表参道のような駅近の大聖堂型チャペルは、年間を通じて予約が取りにくいほどです。
京都では、神社仏閣での神前式や、東山エリアの歴史的建造物を改装した会場が支持されています。たとえば「ザ ソウドウ 東山 京都」では、4名からの少人数プランが用意されており、八坂の塔を望むロケーションで会食を楽しむことができます。10名で約78万円からのプランがあり、家族だけの静かな結婚式を考えている方に適しています。
沖縄はリゾート婚の聖地として確固たる地位を築いています。コバルトブルーの海を背景にしたチャペルでの挙式は、日常から離れた特別な体験を求めるカップルにぴったりです。TUTUリゾートウエディング沖縄では、2025年に新チャペルがオープンするなど、選択肢も年々広がっています。挙式と衣装のセットプランが用意されており、北海道や軽井沢など、他のリゾートエリアと比較検討するカップルも増えています。
会場選びで押さえておきたいポイント
理想の会場を見つけるには、まず「どんな一日にしたいか」をふたりで話し合うことが欠かせません。重視したい条件を書き出してみると、優先順位が自然と見えてきます。
ゲストの満足度が高い会場には、いくつかの共通点があります。駅から徒歩圏内であること、貸切対応が可能であること、試食会や見学フェアが充実していること。特にアクセスの良さは、遠方から来るゲストへの配慮として外せないポイントです。年配の親族が多い場合は、段差の少ないバリアフリー設計かどうかも確認しておきましょう。
日程の柔軟性も重要です。人気の会場は土日祝日の予約が半年以上先まで埋まっていることも珍しくありません。もし希望の日程が決まっているなら、早めの見学と仮予約をおすすめします。平日やオフシーズン(1月〜3月、7月〜8月の一部)を選ぶと、同じ会場でも費用が抑えられることがあります。
見学の際は、スタッフの対応の丁寧さや、実際にその会場で結婚式を挙げたカップルの口コミにも目を通しておくと安心です。SNSや結婚情報サイトのレビューは、パンフレットだけではわからないリアルな声を知る手がかりになります。
衣装選びの楽しみと注意点
衣装は結婚式の満足度を大きく左右する要素のひとつです。和装と洋装、どちらを選ぶにしても、試着の段階で写真を撮り、動いたときの着心地やシルエットをしっかり確認することが大切です。
白無垢は、日本の婚礼衣装の中でも最も格式が高いとされる純白の着物です。花嫁の清らかさと、これから嫁ぐ家の色に染まるという意味が込められています。色打掛は、金糸や銀糸で華やかな柄が織り込まれた豪華な着物で、披露宴でお色直しとして着用されることが多いです。どちらもレンタルが主流で、小物類を含めると一式で15万〜40万円程度が相場です。
ウェディングドレスは、Aライン、プリンセスライン、マーメイドラインなど、シルエットによって印象が大きく変わります。試着の際に複数のスタイルを試し、会場の雰囲気や自分の体型に合うものを見つけてください。タキシードや紋付袴など、新郎の衣装も忘れずに早めに手配しておきましょう。
これから始めるふたりへ
結婚式の準備は、ときに大変で、思い通りに進まないこともあるでしょう。でも、そのプロセス自体が、ふたりの関係を深める大切な時間でもあります。予算やスタイル、ゲストの顔ぶれ——条件はカップルごとにまったく違います。だからこそ、「みんながこうしているから」ではなく、「自分たちはどうしたいか」を軸に据えてください。
まずは情報収集から。気になる会場のブライダルフェアに足を運び、実際の空間を体感してみること。オンライン相談会を活用して、自宅にいながら複数の会場を比較すること。どちらも有効な第一歩です。焦らず、でも着実に。ふたりらしい結婚式は、きっと叶えられます。