コロナ禍をきっかけに、日本の結婚式のあり方は大きく変容した。ゼクシィ結婚トレンド調査によれば、挙式・披露宴の招待人数の平均は約52人となり、コロナ前の66人台から5年ほどで2割近く減少している。さらに注目すべきは、30人以下の「少人数婚」を選ぶカップルが全体の3割を超えた点だ。大人数を招いて盛大に祝うスタイルから、本当に大切な人だけを招いて丁寧に過ごすスタイルへ、価値観そのものがシフトしている。
この流れは費用にも表れている。ウエディングパークに投稿された費用明細によると、結婚式の平均費用はおよそ367万円。ただしこれはあくまで平均であり、招待人数によって大きく変動する。たとえば9人以下の家族婚なら平均128万円程度で済む一方、100人を超える規模になると550万円を超えるケースもある。ゲスト数をどう設定するかが、予算全体を左右する最大のポイントと言える。
挙式スタイルの選び方――神前式・人前式・教会式
挙式の形式も、選択肢が広がっている。代表的な3つのスタイルを比較すると、費用の目安は次のとおりだ。挙式のみの費用であれば、いずれも30〜40万円前後で大きな差はない。違いは雰囲気と自由度にある。
| スタイル | 費用目安 | 特徴 | 向いている人 | 注意点 |
|---|
| 神前式 | 約34万円 | 神社や神殿で神主が進行。和装が映える | 伝統を大切にしたい人 | 天候の影響を受けやすい |
| 人前式 | 約36万円 | 場所や進行役の決まりがなく自由度が高い | オリジナリティを重視する人 | 演出を自分で考える必要がある |
| 教会式 | 約38万円 | チャペルで牧師が進行。ドレスが主役 | クラシカルな雰囲気が好きな人 | 会場によっては宗教的な作法がある |
| 近年は人前式の人気が高まっており、レストランウエディングやゲストハウス式と組み合わせるカップルが増えている。場所に縛られず、目の前のゲストに愛を誓うスタイルは、少人数婚の考え方とも相性が良い。逆に、神社の厳かな空気の中で和装を披露したいなら神前式、白いチャペルとパイプオルガンを望むなら教会式が候補になる。 | | | | |
会場タイプ別の特徴と費用感
式場選びでは、会場タイプの違いを理解しておくことが欠かせない。同じ少人数婚でも、選ぶ会場によって費用も雰囲気も大きく異なる。
ホテルウエディングは、宿泊設備やゲストの利便性が魅力だ。遠方から来る親族が多い場合は、移動の負担を減らせる点で有利になる。一方で、パッケージプランが固定されていることが多く、カスタマイズには追加費用がかかりやすい。レストランウエディングは、料理の質にこだわりたいカップルに人気で、30名で100万円前後から挙式・披露宴を実現できる会場もある。ただし収容人数に上限があるため、大人数婚には不向きだ。
専門式場(ゲストハウス)は、挙式と披露宴の演出を自由に組み合わせられるのが特徴。衣装や装花、映像など、こだわりたい項目を選んで予算配分できる柔軟さがある。東京・銀座や表参道などの好立地にある会場では、30名規模のプランが110〜130万円程度から用意されているケースが多い。見学時に実際のプラン内容と内訳を確認し、自分の予算感と照らし合わせることが大切だ。
見学時に確認すべきチェックポイント
式場見学は、単に雰囲気を見るだけではもったいない。当日のイメージを具体化するために、いくつかのポイントを押さえておこう。
まず、同じ時間帯に見学すること。昼の光が入るチャペルと、夜のライトアップされた会場では、印象がまったく異なる。夕方以降の挙式を考えているなら、夜の雰囲気を実際に確かめるべきだ。次に、料理の試食を必ず行うこと。披露宴の費用の約3分の1は飲食代が占める。ゲストの満足度を左右する重要な項目だからこそ、妥協したくない部分である。加えて、衣装室や控室、化粧室など、ゲストが実際に使うスペースの広さも確認しておきたい。
費用面では、見積もりに含まれる項目と含まれない項目を明確にしてもらうことが重要だ。装花のグレードアップやドレスの持ち込み料、ゲストへの引出物代などは、後から追加になりやすい。見積もり時点で「この金額なら大丈夫」と判断せず、想定外の費用が発生しうる項目をあらかじめ洗い出しておくのが賢明だ。契約前に複数の会場を比較し、納得できるまで質問を重ねてほしい。
費用を抑えるための現実的な工夫
結婚式の費用を抑えたいなら、まず招待人数を絞るのがもっとも効果的だ。先述のとおり、9人以下の家族婚なら総額128万円程度に収まる一方、30人規模になると240万円前後まで跳ね上がる。ゲスト数を決める段階で、本当に呼びたい人を優先してリストアップしてみよう。
時期や曜日も費用に影響する。いわゆる「ハレの日」と呼ばれる人気日や土日祝日は料金が高く設定される傾向がある。平日や仏滅などは割安なプランが用意されていることが多く、会場によっては数十万円の差が生まれることもある。仕事の都合がつくなら、選択肢を広げる意味でも平日婚を検討してみる価値がある。
衣裳の選び方も見直しどころだ。新婦の衣裳代の平均は51万円前後で、ウェディングドレスに加えてカラードレスや色打掛を追加すると費用はさらに膨らむ。挙式と披露宴で同じドレスを着用する、レンタルではなく購入が割安なケースもあるため、プランナーに相談しながら最適な方法を選んでほしい。フォトウェディングのみで式は行わない選択肢もある。写真だけでもしっかり残せるプランは1万5千円から用意されており、費用の桁が結婚式とは大きく異なる。「式を挙げるか、写真に残すか」の二択ではなく、両方の良いところを取り入れる柔軟な考え方も増えている。
自分たちらしい結婚式を形にするために
結婚式に正解はない。大切なのは、周囲の常識や見栄ではなく、ふたりが本当にやりたいことを中心に据えることだ。招待人数、挙式スタイル、会場タイプ、費用配分――それぞれの選択肢を、ゲストとの関係性や予算と照らし合わせながら決めていけば、自ずと形が見えてくる。
式場見学では、担当者に遠慮せず疑問をすべて質問してほしい。当日の進行やゲストへの配慮、予算の内訳まで、プロの意見を聞くことで見えていなかった選択肢が広がることも多い。複数の会場を比較し、料理の試食を重ね、実際の空間を自分の目で確かめる。そのプロセスそのものが、結婚式をより良いものにするための準備なのだ。ふたりらしい一日を、自分たちのペースで設計していってほしい。